日誌

令和7年度 生徒会主催対面式における校長挨拶(令和7年4月10日)

 改めまして、皆さん、おはようございます。

 先ほどの新入生入場の際、1年前のことを考えていました。去年の対面式のとき、一所懸命に拍手をしている上級生の姿を見て「こういう、頑張っても頑張らなくても損得に関係のない場面でどう振る舞うか、というところに、人柄って出るんだなあ」と、しみじみ感じさせられたのを思い出しました。そして、この年度末には、卒業式の最後に今の3年生が、こうして拍手に送られて退場していくんだなあと思ったら、先生という職業を選んだ人間の、本能のような部分を刺激されて、少し込み上げてくるものを感じてしまいました。

 偶然の出会い、邂逅というものを大切にしてほしいと、始業式で2・3年生の皆さんには言いましたが、皆さんは今、偶然に同じ学校に入学し、偶然に同じクラスになり、ここに一緒にいます。言ってみれば、人と人との出会いは100%、ほぼすべてが偶然です。その出会いを「必然だったんだ」とか「運命的なものだったんだ」と思えるようになるかどうかは、皆さん一人一人の心と言葉と行いのありよう、そして、その働きによるものです。

 1年生の皆さん。入学して、学校行事や部活動の見学などを通じて、先輩たちが行事を運営したり部活動をリードしたりしているのを見て、「すごいなあ」と思っている人も多いかと思います。逆に、活躍している先輩方の中には、「自分たちが1年生のとき、あんなに立派で頼もしく見えていた先輩たちも、今の自分のように、心の中で不安を感じながらも頑張って自分たちをリードしてくれていたのかなあ」と思っている人もいるでしょう。

 寄居城北高校は、18年前に2つの高校が合併統合して生まれました。前身となる学校と合わせると、80年近い歴史があります。本校だけに限ってみても、こうした先輩と後輩のいとなみが80年近く続いてきたというのは、考えてみると、すごいことです。1年生の皆さんは、今、そのいとなみの大きな流れにつながったわけです。そういうことを考えてもらうと、今日の対面式が、より有意義なものになるのではないかと思います。

 私事で恐縮ですが、先日、30年ほど前に担任したクラスの生徒たちが同窓会に呼んでくれました。もう45歳、皆さんの親御さんの世代になるでしょうか。私は、その子どもたちが…、もう子どもではないのですが、その子たちが仲良く楽しそうに話している姿を見て、とても幸せな気持ちになりました。友達付き合いが今も続いていて、家庭の悩みや子育ての悩みを折に触れて話していると聞き、さらに幸せな気持ちになりました。部活動の先輩後輩のつながりが今も続いている、という子もいて、それを聞いて本当に嬉しくなりました。

 友達同士で良い横のつながりができたり、部活動の先輩後輩と良いつながりができたりすることは、皆さんにとって幸せなことだと思いますが、それだけではなくて、それは皆さんの家族にとっても、私も含めた周りの人にとっても、幸せを感じさせることになるのです。

 この対面式が、そんな幸せなつながりを作るきっかけとして役に立つものとなりますよう祈りつつ、挨拶といたします。